原子力発電はどの程度「石油節約的」か? (1)

      2017/03/24

プルサーマルのまとめの項で
カズちゃんさんから下のようなコメントをいただきました。
コメント欄では字数制限があるので、こちらに載せてみます。

——————以下引用———————-

Re:プルサーマルのまとめ。(12/08) カズちゃんさん

確かに記載内容のことは考えられることですが,原子力行政は,原油の消費を少なからず抑えてきた事,原油の将来を長期(未来)に継続出来る事を考えると必ずしも否定出来ないと思います。また,中国,インドの今後の発展を考えると原子力行政は少なくとも必要と思っています。原油は限りある資源であり将来の子孫に残しておく資源でもあります。危険な原子力を注意しながら運用することも現代人の務めではないでしょうか。自分達の時代だけで石油を使いきって良いものでしょうか!!(2006/12/14 10:09:22 PM)

——————–ここまで———————-

原子力がどの程度「石油節約的」か?というところは
私も原発の存在意義として重要と考えますので、具体的な数値を文献などで探してみました。

実際の原発のエネルギー収支のデータが当局より発表されていないので、推定ということになります。

結果から言うと、

1.原発は重大事故を起こすことは無く、損害賠償に関しては免責。
2.核廃棄物の長期保管は特に考えない。

という前提なら、「石油節約的」です。

どのくらいかと言うと、諸条件により違うのですが、

核廃棄物の長期保管は考えない、
標準的と思われる推計で、
産出電力:52.28兆Kcal、
投入エネルギー:32.54兆Kcal、

核廃棄物の保管を300年とすると、
産出電力:52.28兆Kcal、
投入エネルギー:81.14兆Kcal

プルトニウムの半減期の10倍24万年の保管とすると、
産出電力:52.28兆Kcal、
投入エネルギー:513.14兆Kcal
となります。

一方火力発電所で石油を直接燃やして原発と同じ電力を得る場合、発電効率を35%とすると、
52.28兆Kcalを得るには、
149.4兆Kcalの石油が必要になります。
火力発電所の建設・維持管理・送電に必要なエネルギーを加えると、
約165兆Kcalの石油が必要になります。

ということは、
核廃棄物の保管はしないで環境に投棄の場合は、原発のエネルギー収支はプラス、
廃炉までに発電で得られたエネルギーは、投入するエネルギーより多い。
しかも165/32.54=5倍の「石油節約的」となります。

現実的な仮定として、
核廃棄物の保管を300年とする場合では、
エネルギー収支はマイナス(赤字)です。
廃炉までに発電で得られたエネルギーより、投入するエネルギーが多い。
原発だからと言って特に電力が安くならないのはこういうことだと思います。
しかし火力発電と比べる限り、
165/81.14=2倍の「石油節約的」となります。

プルトニウムの半減期の10倍24万年の保管とすると、
エネルギー収支はマイナス(大赤字)です。
話になりません。
165/513.14=0.32倍となり、「超石油浪費的」です。

石油は300年も保たないので、そもそも意味が無く、
石油が無くなった後は、
原子力行政は核廃棄物は実質的に環境放置を前提としているのでしょう。

ただ、「石油節約的」と言っても電力に限ってのことです。
全石油消費量のうち電力に使われるのは30%程度なので、
電力を全て原発でまかなったとしても、30%の半分の15%の節約に留まるわけです。

この推計は京都議定書を履行するのに(CO2 6%削減=石油消費量:6%削減)、
原発の増設や稼働率のアップをしようと言っていることから、
当たらずとも遠からずと言ったところでしょう。

この石油のいいところ見積もって15%節約を「すくなからず」と見るか、
「焼け石に水」と見るか、
どうでしょうか?微妙ですね・・・

石油はおっしゃるように中国、インド等の
これから石油消費の増大が見込まれる国々がどう対処するか、にもよりますが、
ある石油専門家によると、
去年当たりに、採掘可能埋蔵量の半分を使い切ったとされ、
安定供給が望めるのは、せいぜい後40年。

15%節約して、後46年ですか・・・

核廃棄物の長期保管は考えず、全て環境放置としても、
24%の節約で、後50年。

原子力行政を進めても、
「自分達の時代だけで石油を使いきって」しまいそうですね。

いずれにしても、原発は施設も核燃料も電力だけでは作れず、石油が必要ですので、
石油枯渇と相前後して原発も稼動できなくなります。

御意見お待ちしています。

 - ドクターのつれづれ。