エネルギー効率重視の時代へ

      2017/03/24

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日本で石炭中心から石油中心の社会に転換してから,既に50年以上が過ぎようとしている。2度のオイルショックを経験したものの,根本的には石油依存から抜けきっていないのが現在の日本の社会である。

廉価な石油の時代が終われば,自然エネルギー利用が進むのと同時に,社会全般で使われる機械動力の代替や効率化,省エネが図られることになる。今のところ,石油と同等クラスのEPR(Energy Profit Ratio)の代替品は存在しないのだから。

エネルギー効率・速度の指標
どの輸送手段がどの程度のエネルギー効率なのかをまとめてあるのが,この図である。
karmangabgkupdated.jpg

Karman-Gablielli
縦軸は「積載量/出力」を表し,横軸は「速度」を表している。上にいくほど同じ重さのものを輸送するのに多くのエネルギーが必要なため効率が悪く,右に行くほど高速で輸送出来るということを示している。技術的な進歩は下方向(効率改善)右方向(速度改善)の二方向に向けて進んでいる。。

この図中のKarman-Gablielli線が,船舶・自動車・鉄道・航空機などの輸送手段のエネルギー効率と速度の組み合わせの限界値,すなわち速度とエネルギー効率のトレードオフ直線を示している。(現在は技術開発により,この直線よりも輸送効率のよいものが誕生している。例えば,石油タンカーや鉄道などが。)

今までの世の中では,この図における縦軸(エネルギー効率)をあまり意識する必要がなく,横軸(輸送速度)の方が重視されていたと言えるだろう。情報通信の速度は今や光の速度に到達しようとしているが,それに合わせるかのように,Fedexなど航空便も発達し,今や2~3日で海外に小包を届けることが出来る。

今後の世界
エネルギーが廉価な時代には,多少のエネルギー効率を犠牲にしても,高速化を行えば時間を節約することができ,経済的利潤を増やすことができた。

しかし,エネルギーが高価になれば,エネルギー効率の優れたシステムの方が優位に立つ。速度をやや犠牲にしても,エネルギー効率が高い(安価な)輸送手段が選ばれる。車から鉄道へ,ジャンボジェットから船へといった乗り換えは,徐々に進んでいくだろう。

と同時に,そもそも輸送量を減らすということが求められるようになるだろう。現在の日本は,食料・エネルギー・資源の多くを海外からの輸入に頼っている。これはある意味で,廉価なエネルギー時代のトレンドであるグローバル化に過適応した結果であるとも言える。今まで合理的だった選択は,条件が変わればまとめて不合理な選択となってしまう。日本においても,今後数十年の間に,多くのインフラを未来型のものへと転換する必要に差し迫られるだろう。

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 - 秋月, ドクターのつれづれ。